『美容サロンで働く方々のこだわりをとことん知りたい。むしろ語り尽くしてほしい!』そんな編集部の思いを元に、bionly plusでスタートしたこの企画。
第四回目は、大阪府梅田駅近のヘアサロンORGANIC SALON ENGAROオーナースタイリストの峰松稔さんです。
ヘアサロン『ORGANIC SALON ENGARO』峰松 稔
「お客様と二人三脚」をサロンのスタイルとし、笑顔と癒しの空気でお客様を迎える『ORGANIC SALON ENGARO』。自身もくせ毛で悩んでいたということから、誰よりも豊富な知識を身に着け、クセ毛のカットが上手い美容師として人気を呼んでいる。また、オーガニック商材のラインナップはこだわりそのもの。常に「お客様が美容を楽しめる」提案をし続けている。
まるで温泉水のような、日本でここだけのお水
―― 早速ですが、ENGAROさんでは「お水」にこだわっているということで、そのきっかけを教えてください。
水にこだわるきっかけになったのは、自分自身やスタッフの肌荒れですね。美容師のお肌が荒れなければ、お客様にとってもいいものということですから。
―― たしかに。画面越しですが手がおキレイですよね。
そうなんです、実は手キレイなんです。
―― そのこだわりのお水とはどういったものなのでしょうか。
サロンでお水を作っています。
機械はタカラベルモントさんの軟水器を使用しています。その機械の貯水槽に、静岡県の陶器メーカーで創られている、日本国内の温泉地やパワースポットで採取された鉱石を練り合わせて作られたセラミックを設置して、より柔らかいお水になるよう、少しカスタマイズしてます。
そのセラミックがあることで、温泉に入った後のような保湿感や癒され感…温まるようなお水になるんですよ。日本でここだけのオリジナルのお水です。
元々、お店自体ヘルスケアにも力を入れていて「イヤシロチ(弥盛地)・ケガレチ(気枯地)」という概念から、店内空間を整えています。生命体のエネルギーを正常に動かすような空間というか。店内に置いている植物にしてもそうですし、そこにあっているもの、いいなと感じたものを探してお水にも取り入れるようになりました。
―― オープン当時から取り入れていたんですか?
軟水器はオープンから使っていましたが、セラミックはきちんとチカラを理解して、貯水槽に入れるだけで効果があると自分が感じて納得してからなので、昨年からです。導入してからは、やはり圧倒的に違いがあります。おなじみのお客様なんかは、こちらが説明しなくても「なんか変わった?」と言われましたし、そこまで敏感じゃない方でも気づいていただけます。
今働いているスタッフはアトピー持ちで、入社当時は手が荒れていたんですが今はすっかり治りましたね。
―― お水の効果はやはり凄いのですね。
そうなんです。なのでお客様から、これと同じお水を自宅でも使いたいという声もいただいています。
あとは、同じセラミックを使って自宅空間の気の巡りを良くするというのをご案内することもありますね。
―― かなりの効果を感じられるお水を導入された時に、メニューの変更や価格改定はされましたか?
メニューの変更は無いですね。あくまでも付加サービスなので価格もそのままにしています。皆さまに安いと感じていただけるなら…僕は美容業界の「ニ〇リ」だと思ってます(笑)
―― (笑)そんなお値段以上のサービスをされているENGARO様ですが、お水以外のこだわりはありますか?
あとは、サロン名にもなっているんですがやはりオーガニックですかね。扱っている薬剤は全部自分の体で試しています。パーマ剤やカラー剤は、30秒肌に触れているとその夜に水疱ができてしまうものが多いんですが、逆に、それができないものであれば比較的大多数のお客様に大丈夫だろうということで。オーガニックの薬剤も全て試しています。
―― 薬剤の部分では、お客様の反応はいかがですか?
カラーを出来ないと思っていた方が、出来るようになったというのはありますね。肌荒れでもう一生カラーを楽しめないと思っていた方が、うちのサロンを見つけてくれて、「ENGAROならできるかも」という望みをもってご来店くださいました。その方は、いまカラーを楽しまれていますよ。
シザーを選ぶ時は、自分の体で感じないとダメですね
―― それでは、ここからはシザーに関してうかがいたいのですが、現在
はどちらのものを使われていますか?
シザーは、10丁すべてハヤシ・シザーズさんという和歌山県のメーカーさんのものを使っています。
(ハヤシ・シザーズHP… http://www.hayashi-scissors.com/ )
―― そのハヤシ・シザーズさんとはどのように出会ったのでしょうか。
出会いは…とにかくいいものを求めて探しまくりましたね。
その時に、気になる全てのシザー屋さんを呼んで触って試して…もうそれしかなかったです。商品案内に書かれていることも似てたりするじゃないですか。やっぱり実際に持って・試して自分の体で感じないとダメだと思っています。
―― 探している時期はどのくらいのメーカーさんを試しましたか?
シザーって鋼材と刃付けで変わるんですけど、「このメーカーのこの鋼材でこの刃付けなら」というのでだいたいわかるので、そこである程度気になるところをピックアップした10社ほどです。
―― 使用されているシザーの特徴などはありますか?
メインで使っているものは完全オリジナルです。デザインは元々あるものなんですが、材質を純コバルトにしてもらっています。この素材の特徴としては柔らかく切れるところ。
今シザーの素材で良いと言われているのがハイス鋼という硬めの金属で、それとは真逆ですが切れ味が違います。言葉にすると…溶けるように切れる感じ。シザーを開閉した時がすごく滑らかなんです。
切った断面に丸みを持たせるには、柔らかい切り口のシザーが必要。断面に丸みを持たせると毛先がなじむんですよ。この純コバルトでつくられているシザーは他にも数社ありますが、含有量が違います。あとは、柔らかい金属ですが表面を硬くするために、DLCという素材でコーティング加工をしてもらっています。
あ、あと違いがわかるのがセニングシザーですね。これはそんなに数試していないです。
梳き刃がWだったりLだったりVだったり…昔はVしかなかったんですが、この中で一番柔らかい切れ味になるのがLなんです。これだと切られている感じがなくて「え?カットもう終わってるの?」みたいな(笑)実は髪を切る時の “切られている感” も不快感のひとつなんですよね。
ちなみに、セニングシザーは全部で4丁あってメインで使っているのが2丁。梳き具合と刃付けが異なるもので、髪質で使い分けています。梳きは30%・25%・15%・10%以下というラインナップです。
―― 4回目のインタビューでついに10%以下のセニングシザーが登場しました(笑)メインのシザーに関してですがこれまでのハヤシ・シザーさんにたどり着くまでは?
ハヤシ・シザーさんの前は、理容師業界で憧れとも言われているナルトシザーさんのを使用していましたが、そこに行きつくまででも色々なメーカーのものを使いましたね。より繊細に道具を使い分けたいと思いハヤシ・シザーさんに落ち着きました。今、ハヤシ・シザー歴12年です。
美容師はお客様との関係値を築くためのコミュニケーションツール
―― それでは、最後に美容師という職業へのこだわりを教えてください
僕は、お客様と話す時もそうですが「美容師はコミュニケーションツール」と言っています。
何故かというと、美容室に来店されるお客様は「髪を切りたい」だけではなく、もっと心の奥底で「ハッピーになりたい」という思いを持っていると思うんですよね。なので、施術しながらする会話は、お客様がハッピーになれる、明日から前向きになるようなお話、そこを意識しています。
あとは、僕のカットやカラー塗布に優しさを感じていただけるよう力加減にはこだわっています。
施術のひとつひとつから優しさを感じていただければ「わたしのことを考えてくれている」という感覚がお客様の中に芽生え、そのうちディープなお話ができる間柄になっていく、そういう意味でのコミュニケーションツールですかね。
実は、お客様の中には東京や北海道、一番遠くはニューヨークから僕と話したいと来店してくださる方もいます。嬉しいことです。なんだか、僕に髪を切られると出世するとか言ってたり(笑)まぁ、そうやってお客様の心のモヤモヤを解消するためのコミュニケーションツールだと思って美容師を続けていますね。
SHOP INFO
『ORGANIC SALON ENGARO』
【住所】大阪府大阪市北区大淀南1-10-11 TDRbild2F
【営業時間】10:00~19:00
【定休日】毎週月曜日(不定休あり)
【URL】 https://www.engaro.co.jp